733年創建
笠寺観音(笠覆寺)に伝わる観音縁起によれば、733年に創建されました。僧の善光が、呼続の浜辺に漂着した流木で十一面観音像を彫り、その像をまつったのが始まりだそうです。天林山小松寺
最初期のお堂は、天林山小松寺と呼ばれ、南区粕畠町にありました。 粕畠貝塚のある場所です。その後、お堂は朽ちて、観音像は野ざらしになっていました。
見所が多い
笠寺観音(笠覆寺)は、境内の中に、史跡がたくさんあります。 また縁結び、節分などの行事、青空市と、見所の多いお寺です。
西門(1814年)。
見所一覧
- 本堂
- 玉照堂
- 宮本武蔵の碑
- 笠寺千鳥塚
- 春雨塚
- 六角地蔵
- 延命地蔵
- 多宝塔
- 人質交換の石碑
- 鐘楼堂
- 仁王門
- 放生池
- キリシタン灯篭
- 愛智塚
- 暁台塚
- 東光院
- 泉増院
- 西方院
- 粕畠貝塚
粕畠貝塚
笠寺観音の発祥の地の「天林山小松寺」があった場所は、現在は「粕畠貝塚」と呼ばれ、縄文時代の遺跡です。 かつては「観音塚」と呼ばれており、観音堂が建てられていたとのこと。>粕畠貝塚の地図

笠覆寺の建立
ある時、藤原基経(日本史上初の関白で知られる)の子の藤原兼平が、雨の日にこの観音像を笠で覆った娘を見初め、玉照姫(たまてるひめ)と名づけて妻とした縁で、930年にこの地に寺を建立し、笠覆寺と名づけました。
笠の寺紋。
8年に一度だけ開帳
この由来から、笠寺観音の本尊は十一面観世音菩薩で、笠をかぶっています。本尊は秘仏となっており、8年に一度だけ開帳されます。平安時代初期の作風だともいわれます。縁結び
また、玉照姫の由来にちなんで、縁結びを祈る参拝者も多いとのことです。玉照堂
玉照姫(たまてるひめ)と兼平の像が置かれています。
宮本武蔵の碑(1744年)
二刀流で有名な宮本武蔵の100回忌を記念して、1744年に武蔵の孫弟子によって立てられたもの。尾張徳川家の兵法指南役を目指して、尾張にやってきた際、二ヶ月ほど、東光院を宿坊にしていたとか(参考URL)。
笠寺千鳥塚(1729年)
芭蕉が、貞享4年(1687年)に鳴海を詠んだ「星崎の闇を見よとや啼く千鳥」が刻まれています。1729年の建立。 千鳥塚と呼ばれるものは鳴海の千句塚公園にもあり、そちらは芭蕉自筆とされます。

春雨塚
笠寺観音には、もうひとつ有名な芭蕉の句碑「春雨塚」があります。 芭蕉ゆかりの下里知足の孫が建立したとのことです。「笠寺や漏らぬ岩屋も春の雨」
笠覆寺の『笠寺縁起』を人から聞いて詠まれた芭蕉の発句です。

「春雨塚」は、多宝塔のそばにあります。
六角地蔵(1770年)
1770年建立。 尾張名所図会にも確認できます。
延命地蔵(1729年)
お堂の中に延命地蔵がまつられています。お堂の前には石柱があるので、すぐ見つけられます。
暁台塚
西門の左手の延命地蔵の近くに「暁台塚」があります。 元尾張藩士・加藤暁台(久村暁台)をしのんで建立されたとのこと。
本堂(1763年)

多宝塔(1644年)
阿弥陀如来をまつる二重の塔。 正面の石碑は、徳川家康の「人質交換の地」と書かれています。
人質交換の石碑
1549年、織田家に捕らえられていた竹千代(家康の幼名で、当時8歳)と、今川家に捕らえられていた織田信広(織田信長の兄)との人質交換が、境内で行われたとのこと。5月5日に地域で行われている鍬形祭り(鍬形かぶとを奪い合う)は、この人質交換に由来するそうです。
鐘楼堂(1684年)
鐘楼堂(鐘つき堂)に安置されている梵鐘は、鎌倉時代(1251年の銘がある)のものです。尾張三名鐘の一つに数えられ、愛知県の有形文化財に指定されていますが、大晦日には除夜の鐘として現役だそうです。
仁王門(1820年)
大きな金剛力士が両側で寺の入り口を守っています。 正面の道は、旧東海道。大きな草鞋は、目の前を旧東海道を旅した旅人の安全祈願でしょうか。

放生池
多くのカメが生息しているので、亀の池とも呼ばれます。仁王門に続く太鼓橋は1806年のもの。
キリシタン灯篭
笠寺観音の墓地に、「キリシタン(切支丹)灯篭」があります。「織部灯籠」とも呼ばれます。 織部灯籠とは、「織部焼(おりべやき)」で知られる茶人・古田織部が考案した灯篭とのことです。解説によれば、笠寺観音のキリシタン灯篭は、火袋の部分がなく、創造期の灯籠とのことです。

竿の部分に像が彫られています。
墓地への道をまっすぐ進むと見つかります。
愛智塚
キリシタン灯篭のそばに、コンクリートで囲まれた「愛智塚」があります。 愛智塚は、旧戸部村にあった愛智氏の墓地です。石仏や石塔を笠寺観音境内に移した、とのこと。
笠覆寺十二坊
笠覆寺には、塔頭(たっちゅう)が12坊あったとされます。塔頭とは、僧侶が住む脇寺のことです。現在は、東光院、泉増院、西福院、西方院が残っています。
東光院
東光院は、笠覆寺十二坊の一つです。
東光院には、宮本武蔵の肖像画、掛軸、木刀といった遺品があります。現在は一般公していません。 泉増院 泉増院も、笠覆寺十二坊の一つです。 玉照姫の像が安置されています。

烏瑟沙摩明王が祀られています。


立派なクスノキがあります。
尾張四観音と節分行事
尾張四観音とは、尾張国の代表的な四つの観音寺のことです。大須観音が有名ですが、大須観音は比較的新しい創建なので、尾張四観音には含まれていないとのこと。- 荒子観音(名古屋市中川区荒子町)
- 甚目寺観音(あま市甚目寺)
- 龍泉寺観音(名古屋市守山区龍泉寺)
- 笠寺観音(名古屋市南区笠寺町)
リンク
公式サイト更新情報
- 2016-01-24
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